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研究内容

小形条虫と昆虫中間宿主(甲虫)における相互作用の解明

条虫は、その長さが数メートルにもなるサナダムシ(広節裂頭条虫など)がよく知られています。しかし、サナダムシに限らず条虫の仲間は多種多様です。条虫には、マウスやヒトなどの哺乳類の終宿主に感染するために、コクヌストモドキなどの穀物害虫、ノミ、ゴキブリといった昆虫を中間宿主として利用する種が存在します。昆虫体内に取り込まれた条虫の卵は腸管内で孵化し、六鉤幼虫となります。さらに、六鉤幼虫は昆虫の腸壁を通り抜け、体腔において終宿主への感染性を持つ擬囊尾虫へと成長します。
小形条虫や縮小条虫、瓜実条虫では、昆虫体内の擬囊尾虫が、ヒトなどの終宿主への感染に必要です。感染した昆虫を誤って幼児が口にしてしまい、これらの条虫に感染することがあります。そのため、予防の観点からも条虫と昆虫の寄生関係の理解が重要であると考えられます。しかし、この相互関係については十分な研究が行われていません。
私達はこの条虫—昆虫の寄生関係に興味を持ち、小形条虫(Hymenolepis nana)と、その中間宿主である甲虫コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)(写真)を用いて研究に取り組んでいます。このコクヌストモドキは、RNA干渉が極めてよく効く生物として知られています。一個体当たりたった5pgの二本鎖RNA量でも、注入した部位にかかわらず全身でRNAiが認めらます。この利点を活用し、RNAiにより作成した機能欠損変異体を用いて、条虫との相互作用に関与する中間宿主遺伝子のスクリーニングをおこないます。
(写真:甲虫の一種コクヌストモドキの成虫)
※図はクリックすると拡大します。